若者に贈る年金早わかり/日本の年金/基礎年金とは何か

基礎年金とは何か
➽ 公的な説明を見てみよう

厚生労働省の「マンガで読む公的年金制度 第04話」には次のように書かれている。
①公的年金は2階建て(1階が国民年金=基礎年金、2階が厚生年金)
②1階の国民年金には国民全員が、2階の厚生年金には会社員が加入
③国民年金は保険料定額/厚生年金の保険料は収入に応じて変わる
④基礎年金が定額のため、所得再分配機能がある
⑤上乗せとして、「企業年金」や「国民年金基金」がある

さらっと書いてあるが、これを〇✕方式(〇△✕)で採点すると、
(✕)①公的年金は2階建て(1階が国民年金=基礎年金、2階が厚…
(〇)②1階の国民年金には国民全員が、2階の厚生年金には会社員…
(△)③国民年金は保険料定額/厚生年金の保険料は収入に応じて…
(✕)④基礎年金が定額のため、所得再分配機能がある
(△)⑤上乗せとして、「企業年金」や「国民年金基金」がある

①②から、公的年金は「基礎年金」と「厚生年金」の2種類で、「基礎年金」には全国民(年齢制限はある)が加入するが、厚生年金には会社員しか加入できない。会社員の加入する公的年金は2階建てで、「基礎年金」に加えて2階部分に相当する「厚生年金(狭い意味での厚生年金=上乗せ分)」も受給できるが、非会社員(=国民年金第1号被保険者)には、低額な「基礎年金」の受給資格しかない、と言っている訳だが(非会社員は低年金だと理解できただろうか。公的年金の一部に過ぎない「基礎年金」を、ここで敢えて「国民年金」と称しているのは、悪意からだとは思いたくないが、「国民年金」「基礎年金」の意味を混沌とさせる役割を担っている。ともあれ、非会社員の公的年金は1階建て(基礎年金のみ)なので、項目①は(不適切で✕)、項目②は事実としては(〇)となる。

③は「基礎年金」に対する保険料は定額で、「上乗せ分(狭い意味での厚生年金)の保険料」には報酬比例部分があるとの説明だ。必ずしも正しくはない(英国の年金制度では基礎的な部分にも報酬比例の保険料が課される)が、日本の現状では間違いではないので、項目③は(△)となる。

大問題なのは項目④で、所得再分配機能の説明は間違っている。日本の「基礎年金保険料」が定額であることは、国民年金制度の「逆進性」を示すものとして、改善が望まれる最重点項目となっている。年金制度の所得再配分機能は、報酬比例部分で実現されるため、厚生年金にはその機能があるが、基礎年金にはその機能はない。逆に、日本の基礎年金は、低所得者が収入に比して多くを負担するシステムとなっていて、余裕のある個人事業主が報酬比例部分を納付していない現状は問題視されている。項目④は(✕)である。

⑤で、年金上乗せ制度をあっさりと紹介しているが、妥当とは言えない。「国民年金基金」(およびここでは触れられていないが、「農業者年金」)は、「基礎年金を補完すべき」半ば公的な年金上乗せ制度(農業者年金は公的年金に分類される)で、非会社員の公的年金の2階部分、会社員で言えば「狭い意味での厚生年金」に相当する。制度設計の齟齬から、任意加入となったので、加入率が極めて低く(「国民年金基金」は国民年金第1号被保険者の12%、「農業者年金」は農業従事者の5%)、日本の年金制度のアキレス腱ともなっている。本来、報酬比例部分を導入して義務化すべきだったこれらの制度を、任意加入として、基礎年金勘定と分けたことで、非会社員の公的年金(いわゆる「国民年金」)は財政的に極めて脆弱なものとなり、創設後25年で実質的に破綻、「基礎年金制度」(昭和61年[1986])に移行した。最後になったが、「企業年金」は会社員の私的年金上乗せ制度で、通常、3階部分 と言われる。多くの会社員が加入しているが、「国民年金基金」や「農業者年金」とは性格が異なるものだ。項目⑤は(✕)不適切だ。


厚生労働省の「マンガで読む公的年金制度 第04話」から↓